研究について
熊本県中学校教育研究会社会科部会研究部
研究主題
民主主義の担い手に必要な資質・能力を育む社会科の探求
~生徒の「問い」を生み出す授業デザインの工夫~
2 主題設定の理由
(1)研究主題設定の経緯
- ① なぜ「民主主義」を掲げるのか
世界の情勢を見ると、保護貿易主義や自国第一主義など排他的な風潮が広まり、社会の分断が起こっている。さらに、パンデミックによる世界的な混乱やヨーロッパにおける軍事侵攻が我々に突きつけたことについて考えるとき、民主的な対話を重ねて打開策を見出していかなければならないことに改めて気づかされる。「民主主義の危機」が叫ばれている現代において、もう一度「民主主義」を見つめ直し、私たち社会科教師が原点にかえって研究を進めるために、「民主主義」を研究主題に掲げることにした。 - ② 社会科と民主主義の担い手を育てること
我々教師の使命は「民主主義の担い手」を育てることである。立場を変え、子どもたちは、なぜ社会科を学ぶのか。それは「国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者」、すなわち「民主主義の担い手(主体)」となるためであると言える。そもそも、戦後発足した社会科は、民主主義社会の形成とその主体(市民)の育成を重視してつくられた。
民主主義を見つめ直し、「資質・能力」の育成が求められる昨今だからこそ、子どもたちが「なぜ社会科を学ぶのか」という目的意識に立ち返って研究主題を設定した。本研究会が以前から掲げ3)てきた「未来を拓く力」の中身をさらに明確化して、子どもたちが「民主主義の担い手」として育っていくために必要な資質・能力に着目した。